HashiCorp:クラウドの操縦室
金融不安に人間の普遍的動物性を、GPT-4にAIの破壊的可能性をみた3月もあと一週間を切った。来週の今頃は新年度、コッカラSaaSも地道に分析を重ねていきたい。
これまで分析してきたSaaS企業を俯瞰すると、ふたつのタイプがある。アプリケーション起点の企業とプラットフォーム起点の企業だ。AsanaやBillは前者の代表例であり、後者だとSnowflakeやMongoDBが典型的なベンダーと言える。前者がビジネス課題を直接解決しようとするのに対し、後者は問題解決のツールを提供する立場をとる。結果として、前者タイプのSaaSが後者タイプのSaaSの顧客になることも珍しくない。たとえば決済SaaSのBlock(旧Square)は、自社の分析基盤としてSnowflakeを導入している。
本日紹介するHashiCorpは、そういう意味では例外的存在だ。インフラやネットワークを運用管理するための自社開発のツール群をソフトウェアとクラウドサービスの双方で提供しており、infrastructure as code(IaC)ツールの決定版とも言えるTerraformや秘密管理ツールのVaultは、クラウド基盤管理のデファクトとなりつつある。他にもサービスメッシュ管理ツールのConsulなどあわせて8つの製品を展開しており、JPモルガンのアナリストMark Murphy氏の言葉を借りるならば「情シスにとってHashiCorpはApple製品」と言われるほど、その品質に対する評価は高い。