Last Mile as a Serviceという間隙

AI時代の勝ち筋はAIとほぼ無関係
らんぶる 2025.11.19
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元PaypalおよびFacebookのエンジニアで、その後RedditのCEOを務め、今は気候変動と戦う最善の方法は植林ということでTerraformationを起業しているYishan Wong氏がこんなポストを投稿していた。

Yishan
@yishan
My AI investment thesis is that every AI application startup is likely to be crushed by rapid expansion of the foundational model providers.

App functionality will be added to the foundational models' offerings, because the big players aren't slow incumbents (it is wrong to
2025/11/10 16:39
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280バイトをゆうに超えるクッソ長いポストだが、AI界隈ではそれなりに物議を醸したので、全文訳して掲載する(naniで翻訳、強調は筆者)。

私のAI投資に関する見解は、AIアプリケーションのスタートアップはすべて、基盤モデルプロバイダーの急速な拡大によって潰される可能性が高いというものです。大規模な企業は動きの遅い既存企業ではない(ここでは「素早いスタートアップ、動きの遅い既存企業」というアナロジーを適用するのは誤り)ので、単に規模が大きいという理由から、アプリの機能は基盤モデルの提供品に追加されるでしょう。これまでのどの新しい技術よりもはるかに、あらゆる新しいアプリを発明とほぼ同時に陳腐化させる、大規模で動きの速い波が存在します。会社を設立し、それをスケールアップさせる時間はほとんどありません。AIアプリケーションのスタートアップ創業者には、お金を稼ぐ2つの方法があります。①一時的な流行のアプリを作り、莫大な現金を稼ぎ、それを銀行に預ける(私の見積もりでは、キャッシュフロー創出期間は約12~18ヶ月です)。②既存の大手企業の一つに十分な株式で買収されるような、十分な品質のアプリを作る。状況は非常に不安定です。これがクラッシュするのか、それとも大成功するのかは分かりませんが、どちらのシナリオも、AIアプリケーションのスタートアップが独立して世代を代表するような超企業になる可能性は非常に低いことを示唆しています(そもそも基本的な確率は低いのですが)。最も可能性が高いのは、非常にユニークで具体的なデータ障壁を持つ、高度に専門化された分野でアプリケーションのニッチを見つけることです。理想的には、ソフトウェアや金融ではなく、実際の原子(ハードウェアや世界に関連するもの)データに関係するものです。

つまり彼の意見は、AIによりソフトウェアの開発速度が爆速化しているので、2025年時点の巨大プラットフォーマーはその潤沢なリソースを活かして様々な開発を並行して進められるため、新興勢力が間隙を縫って商圏を作り出すことが難しいというものだ。さらに言うならば、AI市場がGAFAM各社経営陣に英断を迫るレベルの産業革命…と嘯かれていることもあり、自ら検索エンジンをぶち壊しに来たAlphabetのPichai氏を筆頭に、どのCEOもカジュアルに持続的イノベーションを犠牲にするようになっていることも「イノベーターのジレンマ」理論の崩壊を招いている。

Wong氏はスタートアップの生存戦略はふたつだと述べているが、ひとつ目は露悪的なアメリカンジョークでしかないので、実質は「いいアプリを作る」それも「非常にユニークで具体的なデータ障壁を持つ、高度に専門化された分野」なら尚良しとのことが。いわゆるネテロ会長の「それができたら苦労はしねぇ」案件である。

ということで、もう少し具体的なアドバイスをしてくれているSaaS事業家「SaaS飯」さんのポストも引用する。

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