Snowflake:優勝請負人の三度目の挑戦①
Snowflakeは不思議な会社である。
分類的にはSaaSということになっており、それこそ昨年はAll Star SaaS Fundのイベントに社長のFrank Slootman氏が登壇して話題となった。その一方で上場以降SnowflakeはSaaSではないと公言しており、アナリストからSaaS企業のベンチマークの話が出るたびに「うちはSaaSではないから」の枕詞が飛び出す。SaaSではないならIaaSなのかというと、そうでもない。各種ハイパースケーラーが提供するデータウェアハウス製品と競合しつつも、去年3月のScarpelli CFOの発言によると、FY2022だけでも$1.2B(≒1,590億円)ものrevenue bookingをハイパースケーラー経由で計上している。
そのSaaSでもIaaSでもないらしい会社の売上マルチプルは、2023年1月時点で業界トップレベルにある。
しかも粗利率(gross margin)の数字を見るとトップ5社の中ではもっとも低い。BVPのEMCLOUDインデックスに含まれる他のSaaS企業と比較するかたちで売上マルチプルと粗利率をプロットしてみると、いかにSnowflakeが例外的かよくわかる。
https://cloudindex.bvp.comのデータを元に作成。売上マルチプルと粗利率の相関は有意(p=0.003)
今回から三回に渡り、この不思議な会社について調べていく。SaaSの定石的分析から一旦離れてその不思議さを分析することは、SaaS企業の評価メソッドそのものを見直す契機となる気がしている。