AIと政治に関する動的整理

Soraと著作権、Nvidiaと中国
らんぶる 2025.10.15
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昨今のAI技術の発展と政治はきわめて密接な関係にある。一方でこの分野の発展はきわめて速いので、個々のニュースを追っていると全体的な政治的潮流に関してどうしても一知半解となってしまう。今後の進展を体系的に理解するためにも、最近のいくつかのニュースを出発的として、帰納的な整理を試みる。

Soraさんよ、そらないやろ

まずはOpenAIが発表したSora 2から。動画生成エンジンとしてSOTAなパフォーマンスを叩き出し、モバイルアプリの方は早々に写真・ビデオカテゴリダウンロード数トップに躍り出た。昨年Google Deep Mindが発表したVeoの第3世代モデルVeo 3と肩を並べるだけのパフォーマンスもさることながら、慢性的にマーケティングがヘタクソなGoogleと違い、二匹目のドジョウと揶揄されることを百も承知で日本のアニメとハリウッド映画の二次利用を当たり前のように看過、ジブリ風画像に続き再び各種SNSでの話題作りに成功した。

らんぶる
@tamuramble
No, this is “fuck intellectual property”
Justine Moore @venturetwins
My favorite new trend in the Sora app is putting Pikachu in every movie. This is “Saving Private Pikachu” 👇 https://t.co/pV8JYUb9SZ
2025/10/02 19:55
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SoraにしろVeoにしろ、その本質は「文字で表現された映像」であり、類稀なる描写力をもつ才人は別として、多くの人間はアナロジーでしか映像を表現することができない。「ピカチュウが出てくるSaving Private Ryan」くらいしか表現力を持たない人たちがSoraのようなシステムを効果的に使うためには、「〇〇の要素を取り入れた△△」といった拙い表現に頼らざるを得ず、多くの人間は本質的に発見的ではあっても発明的ではないという事実を再確認することとなった。

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  • Nvidiaと中国、時々OpenAI
  • 知(財)の分業と、その局所化

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