Monday.com:今日の仕事は、楽しみですか?

PLGの申し子のプラットフォーム「WorkOS」は、ベア市場の荒波に耐え得るのか?
らんぶる 2022.04.04
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先々週のSentinelOneに続き、イスラエル発のMonday.com(以下Monday)を取り上げることにする。意外と知られていないが、元々はdaPulseというヒップホップグループを彷彿させる社名でWixの社内ベンチャーとして立ち上がっている。当時社内コミュニケーションに課題を感じていたCTOのRoy Mann氏が社内ツールとして開発、独立したビジネスとしての可能性を感じ、2012年に$1.5MのSeries AをイスラエルのGenesisPartnersから調達することでスタートアップとしての一歩を踏み出した。2017年秋にMonday.comに改名、その後も爆進を続け2021年に晴れて上場した。Mondayの評価額が$7B強、対するWixが$6Bなので、10年かけて産みの親を超えたことになる。

(それにしてもこの半年のマルチプルの下方修正はえげつない…)

今回Mondayを取り上げようと思ったには2つ理由がある。

  • これから需要が増えていくであろう新世代のスモールデータ管理システム(この概念そのものについては後ほど触れる)の中でいち早く上場した会社であること。これは目下のライバルAsanaについても言えることだが、今までのプロジェクト管理SaaSとは違い、より多種多彩な使い方を想定して作られており、AsanaもMondayも、今後IPOを目指すであろうNotionやAirtableの将来性を考える上で、良い分析対象と言える。

  • いわゆるProduct-Led Growth(PLG)の会社かつシリコンバレーの外で生まれた企業であること。これは以前紹介したデンマーク産のZendeskについても言えることだが、PLGはシリコンバレーからみて外様・外国のスタートアップがアメリカ市場で勝負する上での有効なGTM戦略だ。もちろん全ての業界とプロダクトがPLGに向いているわけではないが、Mondayの狙う市場にはその可能性が十分にある。そういう意味でもMondayの軌跡は、日本のSaaS起業家の参考になるのではなかろうか。

PLGの製品の良いところは、実際に製品を触れるところだ。今回も無償トライアル期間を目一杯使い色々と機能を試させてもらった。いつも四半期業績報告データが分析の大半を占めるが、今回はプロダクト内から得られた知見も盛り込んでいく。

では早速プロダクトとGTMの外郭をなぞっていくことにしよう。

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続きは、6455文字あります。
  • WorkOSそれは汎用型スモールデータ管理システム
  • Marketplaceをふらついたらコッカラッスだった
  • ワークフローを制すものは…?
  • 高成長を誇るも不安要因も散見
  • スモールデータ管理SaaS市場のこれから

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