Sales(Rein)force:Slack買収省察
本年もよろしくお願いします。
前々からSalesforceについて体系的に分析したいと考えていた。
しかし相手は年間売上が5兆円に迫る時価総額38兆円のモンスター企業だ。どこから手をつけてよいのかわからず、なかなか手を出せずにいた(もう一つの巨大SaaS企業であるAdobeに関しても、Figma買収の文脈以外で触れていないのは同等の理由である)。
しかし当ニュースレターも3年目に入った今、いつまでもSalesforceを無視するわけにもいかない。その一方で、創業から25年経っている会社を時系列で追うのも骨が折れる。どんな角度から分析すれば良いのか考えあぐねていたのだが、SalesforceのInvestor Day資料の中にヒントを見出した。
非有機的イノベーション(Inorganic Innovation)とのことだが、実際これらの5社は大型買収であると同時に、ここ10年Salesforceがセールス以外の分野に進出する大きな足掛かりとなってきた。以前も指摘したように、今やSalesforceの売上以上は、セールスとサービス以外の領域が占めており、もはやSalesforceというよりもSalesReinforcedに近い。
そういうわけでシリーズとしてSalesforce社の過去の大型買収および戦略的買収について分析していきたい。初回はSlackである。
先に引用した投資家向け資料のデータをもとに、買収からN年目の売上を買収時の売上で割り正規化した数字を図示したのが下図である(便宜上、買収以後の年次売上成長率は一定であると仮定している)。買収からの経過年数が異なるため、5本の曲線の長さは異なる。