SaaSというマネーゲームの終焉
以前も紹介したStratecheryは、定期的に見識者のインタビューを行なっており、最近よくAIの文脈でNat Friedman氏とDaniel Gross氏が登場する。Friedman氏はモバイルアプリ開発ツールのXamarinを創業、Microsoft社に同社を売却後、GitHubの買収を主導し、GitHubがMicrosoft傘下になってからはCEOを務めていた。プログラムのソースコード記述を手伝ってくれるGitHub Copilotの発案者でもあり、2021年11月にMicrosoft/GitHubを去ってからはAI分野を中心にエンジェル投資をしている。Gross氏はYCombinator出身の起業家で2013年に検索エンジンのCueをApple社に売却、その後4年間に渡りAppleで機械学習チームを牽引した。エンジェル投資家として数々のヒットを出し(それこそ以前紹介したFigmaなども含む)、自身も経験したYCombinatorにパートナーとして戻り、AIプログラムを2017年に立ち上げている。AI業界の中心にいる2人だ。
インタビューそのものは有料なので内容の紹介は差し控えるが、以下のThompsonの問いかけがいい感じに煽っていたので引用する(ChatGPTで翻訳後微修正・強調は筆者)。
皆さんはテック業界にBig 5があると言いますが、実際にはBig 6が存在します。Big 5は明らかにApple、Amazon、Microsoft、Facebook、Googleですが、6番目はシリコンバレー株式会社であり、SaaSの生産マシンです。シリコンバレーには、プレイブックを知っている人が集まります。スタートアップの創業者を名乗り、素晴らしい気分になることができますが、実際にはリスクレベルが非常に低く、技術的実行レベルも非常に低く、販売チームの構築や販売に関することがほとんどです。この点に関連しては、ゼロ金利環境も関連しています。シリコンバレー株式会社では「15年後、この世代が私たちにとって何を生み出すかを想像してください」という考え方が推奨されることがあります(訳注:Thompsonは皮肉をこめていると思われる)。スタートアップシーンは、多くの点で起業シーンというより企業シーンでした。そんなシリコンバレー株式会社こそBig 6の中で最初に大きな打撃を受けたのかもしれません
Gross氏はこの「質問ではない質問」に「その通りですね(That’s right)」とあっさり答えて終わらせてしまっているので、この場を借りてもう少し省察してみる。