最新業績報告まとめ:CFLT, DDOG, PLTR

大幅下方修正の中でも続く地道な努力
らんぶる 2022.05.24
読者限定

前回の無料記事ではICONIQ Capitalの資料をもとにSaaS業界を俯瞰した。今日はカバー済みの企業のうち5月前半に業績報告があった3社(Confluent, Datadog, Palantir)についてコメントしていく。

Confluent:クラウドの利益率が予想より早く改善

Apache Kafkaの商用化を主なビジネスとするConfluent(過去記事)は5月5日に2022年度第一四半期の業績報告を行なった。同日に投資家向けプレゼン資料も刷新されている。何よりも特筆すべきはConfluent Cloudが高い成長率を維持しながらも、粗利率の安定化に成功しつつある点だ。Confluent Cloudの売上は先四半期$39M(≒49.8億円)を記録、YoYで180%成長している。前回Confluentについて触れた際、Cloudビジネス拡大に伴う経常コストの肥大化が不安要素であると述べた

同じような展開はConfluentでも十分に考えられる。つまりクラウドビジネスが一定の規模に達することで規模の経済が働くようになり、AWS・Azure・GCPのIaaS三羽ガラスからより大きなディスカウントを引き出すことができる…みたいなことは考えられる。それと同時に売上が伸びれば、さらにR&Dに追加投資することも可能になり、その延長線上の成果物としてProject Metamorphosisのような基盤費用の効率化にも投資できるというわけだ。(中略)僕はConfluentのSubscription粗利率は70-71%あたりで下げ止まると予想している。
https://tamuramble.theletter.jp/posts/0b36f060-c3c2-11ec-862d-1d73a2e69a91

しかしConfluentの最新の業績報告によるとSubscriptionの粗利率は前四半期の74.7%から75.5%に既に改善しており、当ニュースレターの予想を上回る結果となった。

Confluent経営陣もCloud製品の粗利率の維持は経営指標として重視しており、中長期的にも全体粗利率を70%程度に維持すると述べている(強調は筆者)。

Moving on to gross margins and profitability. I'd like to note that I'll be referring to non-GAAP results unless stated otherwise. Total gross margin was 69.7% and subscription gross margin was 75.5%. We are pleased with our ability to maintain healthy gross margins even as cloud accounted for a larger share of revenue. We've driven substantial improvements in cloud gross margin, and we remain focused on increasing our cloud gross margin over time. In the near term, we anticipate total gross margin to fluctuate near our midterm target of approximately 70%.
https://www.fool.com/earnings/call-transcripts/2022/05/06/confluent-inc-cflt-q1-2022-earnings-call-transcrip/

予想を外してしまったので偉そうなことは言えないが、今回のSubscription粗利率反転のニュースは嬉しい誤算であった。もし今後同水準の粗利率をキープすることができるのなら、Confluentの未来は非常に明るいものとなると同時に、今後のデータ基盤SaaS企業にとって、75%粗利率というのは一つのベンチマークとなるだろう。

業績報告でもう一つ特筆すべきだったのは、Google Cloud Platformとの関係強化のニュースだ。ConfluentはData Cloud Allianceに創立メンバーとして参画すると同時にGCPの主力製品であるデータウェアハウスサービスBigQueryのGoogle Cloud Readyパートナーに認定されている。もちろんConfluentはマルチクラウドで滞りなく運用できることが売りなので、AWS、Azureとも引き続き仲良くしていくであろうが、GCPが万年三番手を脱却するためにOSSにルーツを持つConfluentやMongoDB、Databricksといった新興データ基盤ベンダーを囲い込みにいっていることは明らかである。

この記事は無料で続きを読めます

続きは、5797文字あります。
  • Datadog:業績は堅調で買収戦略は継続
  • Palantir:Minima Momentumからの改善策と希望

すでに登録された方はこちら