AIによる複製技術時代のSaaS生存戦略

System of Recordはオワコン、System of Actionは無理ゲー、活路はサブエージェント
らんぶる 2026.03.16
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前回の記事の反響を見る限り、ソフトウェア業界的には現在進行系でSaaSはまだ死んでいるようなので、時流に乗るべく引き続き論考を続ける。

既存SaaSの優位性として真っ先に挙げられるのがSystem of Recordである。System of Recordとは体系化された組織の記録であり、ここには売上から営業活動、座り心地の良い役員室の椅子の仕入れ価格までありとあらゆるデータが含まれる。System of Recordたる条件は2つある。一定の範囲内で正しい記録と共通認識されていることと、記録間の関係性が明示されていることだ。たとえば役員室の椅子であれば、それは唯一の識別子を持つと同時に、非唯一の識別子としての型番を持つはずだ。そして仕入れ値や耐用年数といったデータは型番の方に紐づくこととなる。こういったデータの管理はこれまで業務ソフトウェアで行われてきた。業務ソフトウェアのクラウド化に伴い、その提供形態がSaaSとなったことは周知の事実だろう。

これらのデータがクラウドで管理されるには、これまで大きな障壁があった。データ移行である。SaaSというのはデータに対して特定の業務フローを前提としたインターフェースを提供するものなので、データがなくては役に立たない。ゆえに大規模なSaaS導入においてレガシーシステムからのデータ移行が必須とされ、データ移行そのものがiPaaSというソフトウェアカテゴリを確立するにいたった。

「SaaSの市場の拡げ方:構造的アプローチ」より引用

「SaaSの市場の拡げ方:構造的アプローチ」より引用

データを移行させることは大変かもしれないが、裏を返せば、いったんデータさえ取り込んでしまえば優位性になりえる。なぜならデータを取り出すのは面倒であるし、いったん格納されてしまったデータを取り出そうとすると、それがクラウドであれオンプレであれ、セキュリティ・コンプライアンス警察が出動するからだ。企業がデータを取り出すのは、データを人質にとられ、かつサブスクという名のもとに吊り上げられる身代金の金額が我慢の限界を超えた時だけである。これが「System of RecordとしてのSaaSは永遠」説の本質である。

しかし果たして本当にそうだろうか?

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