Box:手品師のサバイバルガイド①
AdobeによるFigma買収の解説記事後半部分で、当ニュースレターはBoxにこう言及した。
Figmaの登場によって、少なくともデザインの少なからぬ部分において「ファイルの共有」という作業が必要ないことに気づいてしまったからだ。最終兵器彼女的に言うならば「実を言うとDropboxはもうダメです」であり、Figmaの無慈悲な破壊的イノベーションは、思わぬところで被害者を出す結果となった。余談となるが、エンタープライズのワークフローにいち早く戦略の舵を切ったBoxの方が、未来は明るそうである。
今やMicrosoftのOneDrive/Sharepoint、そしてGoogleのGoogle Driveに匹敵するエンタープライズコンテンツ管理サービスであるBoxだが、その歴史は長く起伏に富んだものだった。百聞は一見にしかず、創業当時から18年間一貫してCEOを務めるAaron Levie氏の老け具合が、Boxが歩んできた道のりの険しさを物語っている。
Boxを形容するうえで尤もふさわしい表現は「逞しさとしぶとさ」だろう。Dropboxの攻勢をうまく交わし、リーマンショックに始まったVC投資の死の谷を飛び越え、MicrosoftとGoogleという巨人と渡り合い、IPOは一度延長、上場後も株価は一進一退、コロナ特需で爆益を上げる後発SaaSたちに後塵を拝した。昨年は中々上がらない株価に痺れを切らした大株主ヘッジファンドStarboard Valueにプロキシ戦争を仕掛けられ、ようやくそれが解決したと思ったらSaaS市場の大幅下落である。
普通の起業家ならとっくのとうに匙を投げているだろう。しかしAaron Levieは普通の人間はもちろん、普通の成功した起業家からも程遠いところにいる人間だ。今回はそんなアタオカ起業家Aaron LevieのライフワークBoxの軌跡を辿る。読者は既にお気づきかもしれないが、筆者はLevie氏の大ファンだ。ところどころで客観性に欠ける記述があるかもしれないことを、予め断っておく。
ちなみにタイトルにある「手品師」だが、これはLevie氏が学生の頃から手品師としてバイトをしていたというエピソードに基づくものである。
Birthday party magician
Webmaster
Web designer
Film intern
Failed startup founder
Failed startup founder
#FirstSevenJobs