Alphabet+HubSpotフライング分析
また新しいSaaS企業の分析を再開するかとSEC EDGARを漁っていたところ、Alphabet社がHubSpot社を買収するのではないかという噂話が飛び込んできた。本年のGoogle Next直前というタイミングが若干きな臭いが、HubSpotをカバーしてきた手前、コメントしないわけにもいかないだろう。文献レビューとして、金持ちおっさん四天王のポッドキャストを久保田雅也氏経由で貼っておく。
広告からCRM/MAへの接続によりデータをリッチにし、検索コンバージョンの上昇など40兆円売上へのシナジーで5兆円の買収は容易に回収できる派(FriedbergとJason)…
The All-In Podcast含め、他所ですでに挙げられている利点・欠点をまとめると以下のようになる。
最大の利点は、HubSpotが持つCRMとMarketing Automation機能をGoogleの広告商品と連携させることで、顧客獲得の流れをオンライン広告による認知から、ウェブ申込によるリード獲得、そして有償化まで一元管理できるようになることだ。いわゆるキャズム理論に従うならば、ホール・プロダクトの概念を愚直に踏襲している。最近突如として叫びはじめた(生成)AI戦略の裏付けに奔走してきたHubSpotとしても、近々のAIブームの火付け役となったTransformerを始め、数々のAI技術を世に送り出してきたAlphabet社への合併は、渡りに船に違いない。
一方で、とっくの昔にキャズムを超えたオンライン広告の付近で時価総額5兆円近い企業を買収するより、他に超えるべきキャズムがあるのではないかと指摘する声もある。The All-InのPalihapitiya氏やSacks氏はこちら側の意見であり、明らかに出遅れているLLM商用化こそ、AlphabetのM&A戦略における一丁目一番地だと唱える。当ニュースレターの見解も、こちらの意見に近い。SaaS業界内の人間として、もう少し内在的な観点から当該(想定)M&Aの非戦略性について論じてみる。
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