Sales(Rein)force:Vlocityとプラットフォーム戦略
前回のSlack分析に続き、SalesforceのM&A省察を続ける。これまでのSalesforce社の大型買収は、一貫して製品ポートフォリオ拡充を主目的としてきた。Marketing Cloudの主幹となったExactTarget、Data Cloudの本丸Tableau、Commerce Cloudに改名してもサービスドメイン名が変わらないDemandwareなど、どれも新しいクラウドカテゴリを立ち上げるための大型投資であった。
一方で、新しいカテゴリへの進出ではなく、既存製品群の連携改善を中心にGTMの精度を高めるための買収も並行して行ってきている。それこそSlackは、製品群とユーザーをつなぐコミュニケーションのハブかつエンタープライズIDの管理元と捉えるのが自然であるし、むしろ$28Bという買収額を正当化するには、そのくらい大きな風呂敷をひろげる必要がある。Integration Platform as a Service (iPaaS)の新興トップランナーであったMuleSoftも、単独で販売されるサービスというよりは、Salesforceの各種システム間のデータ連携を自動化し円滑に行うワークフロー管理システムと考える方がしっくり来る。
上記ふたつの買収テーゼをそれぞれ「新クラウド立ち上げ型」と「クラウド連携強化型」と呼ぶならば、今回分析するVlocityは「プラットフォーム積み上げ型」と呼ぶべきだろう。