党大会を終えて:中国特色的SaaSの未来

もうひとつのジジババ大国もコッカラSaaS!
らんぶる 2022.11.03
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世界中が注目した第20回中国共産党大会も先週土曜日に無事閉幕した。日曜日に発表された新しい常任理事の顔ぶれに市場は驚きを隠せなかったようで、中国テクノロジー株は翌日大幅に下落、実に値動きの激しい一週間となった。

中国筋の間では今後の中国経済に対して悲観的な意見が増えているが、私の中国語は我不讲中文どまりだし、特段政治経済的な知見があるわけでもないので、遠い未来を占うつもりはないのだが、気にならないと言ったら嘘になる。SaaS業界に於いて中国市場はいわゆるXファクターであり、「中国でビジネス展開をするか否か」はどの経営戦略担当も一度は考えるトピックだろう。14億人の人口を有し、インターネット利用者も70%を越え、その95%以上がスマートフォン利用者という世界最大のポストPC社会。政府の国内企業優遇もあり、Baidu, Alibaba, Tencentのインターネット三羽烏は巨大プラットフォームに成長、難しいと言われてきたグローバル進出もByteDanceがTiktokを以って可能であることを証明した。

その一方でSaaSはどうもパッとしない。この辺りに関してはLillian Li氏のメルマガChinese Characteristicsも詳しく分析しているが、米国のテクノロジー企業の時価総額トップ20のうち8社がSaaS企業であるのに対し、中国では一社もランクインしていない。視野を後期未上場まで広げてもAIやEC、ヘルスケアが中心で、SaaSのサの字も見えてこない。

なぜこれだけインターネットが発達した中国でSaaSは出遅れているのだろうか。その原因について、ひとまずボトムアップSaaSとトップダウンSaaSを分けて考察してみたい。

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  • ボトムアップSaaSの壁:商習慣とスーパーアプリ
  • エンプラ向けSaaSの壁:遅れるクラウド化とデータの重力
  • SaaSの勝算:抽象化レイヤーの間隙・API・OSS

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