Workday:エンプラSaaSの隠しキャラ①
以前読者の方にWorkdayについて書いてほしいと言われ、それ以来いつかちゃんと調べようと思っていたのだが、書くアングルを決めきれずにいた。そうこうしているうちに今期もSaaSの業績報告ラッシュが去り、気がついたら今年も残り3ヶ月ということで、今年が終わってしまう前にWorkdayについて知っていることを全部書いてみることにする。
どの企業についても言えることだが、その会社の本質を知る上でもっとも大事なのは、美しい成長曲線を描く事業指標でも、ポンチ絵一枚に簡潔に表現されるPMFでもなく、ドロドロの人間模様である。Workdayも例外ではない。もっと言うなれば、人間が独善的で強欲にまみれてなかったら、Workdayは生まれてなかっただろう。
世界で145番目の金持ち
Workdayの創業者であるAneel Bhusri氏とDavid Duffield氏は、Duffield氏が興したPeopleSoftで出会った。Duffield氏はIBMでキャリアをスタートさせた連続起業家で、今日時点で世界で145番目に金持ちのビリオネアである。PeopleSoftはそんなDuffield氏が1987年に創業した3社目の会社で、2社目のIntegral Systemsでメインフレームの限界を感じた氏が、クライアント=サーバーモデルを活かした人事労務向けソフトウェアの開発販売に着眼したところから始まる。クラウド以前の最大のパラダイムシフトとも言えるクライアント=サーバーモデルは、マイクロソフト社が牽引するPC市場の隆盛と共に、基幹システムの設計に多大な変革をもたらし、PeopleSoftもその大波に乗って急成長を遂げた。
法人ソフトウェア業界で急成長すると、必ずガンを飛ばしてくるのがOracleである。