ServiceNow:もうひとつの巨大SaaS①
ツイッターでぽろぽろと呟いていたので、読者の中にはすでに感づいている方も少なくないだろうが、今週からServiceNowについて分析していく。ServiceNowは日本だとまだ馴染みが薄いかもしれないが、IT Service Management(ITSM)と呼ばれるクッソつまらない領域のクラウド化という偉業を成し遂げた会社だ。2012年6月29日に上場してから今週で丸10年となり、SaaS業界の中ではSalesforceとAdobeに次ぐ老舗巨大SaaSである。10年間で株価は20倍になり、何気に同時期にIPOしたFacebook(現Meta)よりも大きなIPOリターンを叩き出している。
これだけServiceNowが成長できた大きな理由として、Salesforce以来の「真のプラットフォームSaaS」であることが挙げられる。つまりServiceNowを深く理解し、その実装経験を積むことが個人のキャリアやパートナー企業の業績につながる一方、ServiceNowでの勤務経験が他のSaaS企業でも評価されるという関係者たちのキャリア・事業基盤となっている稀有なSaaS企業だ。Microsoft/Oracleを第一世代、Salesforce/Adobeを第二世代とした時の、第三世代ソフトウェアプラットフォームの代表格であることは間違いないだろう。
2021年度の売り上げが$5.9B(約8000億円…円安!)を超え、今ではFortune500のうち400社以上を顧客に持つ隠れた巨人の19年を、三つの社長交代劇を紐解くところから始めていきたいと思う。