Box:手品師のサバイバルガイド②

Box Zones→Box Relay→Box Signの三段ロケット
らんぶる 2022.10.17
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先週は上場までの10年間、とりわけ創業社長Aaron Levieにスポットライトを当てて、Boxについて分析した。今週は上場からの7年9ヶ月を業績報告書と共に振り返りたい。BoxがIPOしたのは2015年1月、ちょうどSaaS評価額が上がり始めた時期だ。それから2016年1月と2018年10月のスランプ、2020年3月の市場クラッシュからの未曾有のコロナ特需、そして昨年末からのインフレ対策からの利上げクラッシュと、激動の時代を新興上場SaaSとして生き延びてきたBoxは、起業家や投資家にとって格好のケーススタディである。と同時に、Boxの業績そのものは決して特筆すべきものではない。数字だけを見れば、上場SaaSの中では業績が芳しくない部類に入るといっても過言ではないだろう。

たとえば当該ニュースレターでよく取り扱っているRule of 40の数字をプロットしてみてる、CrowdStrikeDatadogなどと比べても明らかに低い水準にある。

ではBoxから学ぶことがないかと言えば、そんなことは全くない。むしろほとんどの起業家やVCはBoxからこそ学べることが山ほどある。レッドオーシャンで生き残るにはどうしたら良いか?評価額プレミアムがつかないカテゴリから脱却する方法は何か?陰湿な証券アナリストに嫌味を言われたらどう跳ね返すのか?Boxがなぜ伝統的日本企業(ツイッター用語で言うところのJTC)に早期から食い込めたのはなぜか?どれをとってもBoxの戦略と実行力は高いレベルにある。今日はそんなBoxの戦略的ハイライトをテーマごとに時間軸を追って説明したい。なお一回では全て収まりきらなかったので、もう一回続編を書くつもりだ。

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